[ オピニオン ]
(2016/10/3 05:00)
ノーベル賞ウイークが始まる。自然科学分野は3日から生理学医学賞、物理学賞、化学賞と連続して受賞者が発表される。昨年は大村智氏が生理学医学賞、梶田隆章氏が物理学賞を受賞。今年も日本人のダブル受賞以上の期待が高まる。
過去の日本人受賞者は外国籍も含めて24人。その内訳は物理学賞11人、化学賞7人、生理学医学賞3人。ほかに文学賞2人と平和賞1人で経済学賞はいない。
自然科学3分野21人のうち、1949年の物理学賞を受賞した湯川秀樹氏から20世紀末までが6人。2001年から15年までに15人が受賞した。ただ20世紀の研究成果が対象の受賞も少なくない。
近年のノーベル賞は発明・発見といった純粋の理論段階より進んで、実用段階の受賞が多くなっていると感じる。「人類の役に立つ」ことをより重視しているのかもしれない。同時に、どこの国も科学の成果をもとに新たな産業を興す時間の短縮に力を入れているとも考えられる。
そのためには研究者の裾野を広げ、若手の独創的な研究を見いだし、じっくり育てることが求められる。今夕からの受賞者発表は楽しみだが、実用の成果ばかりが急がれる今の日本の状況を考えると、10年後20年後が心配でもある。
(2016/10/3 05:00)