[ オピニオン ]
(2016/10/5 05:00)
地球温暖化対策の新しい国際ルール「パリ協定」が、11月初めに発効する。11月7日にモロッコで始まる気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)でパリ協定の第1回締約国会議が開かれ、詳細なルールづくりが始動する。臨時国会で審議予定の日本は出遅れが確実になった。企業の低炭素技術の開発や輸出を後押しするためにも、早期の批准を望む。
2015年12月に採択したパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度Cに抑え、可能な限り1・5度C未満とする目標を世界が共有する。21世紀後半に温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、化石燃料による排出を事実上ゼロにすることも盛りこんだ。
先進国だけが削減義務を負った京都議定書は米国が途中離脱するなど難航し、発効に7年余を要した。パリ協定は196カ国・地域が参加し、55カ国が批准かつ総排出量の55%以上をカバーすると30日後に発効する。9月上旬、温暖化対策に消極的だった米中が足並みをそろえるように批准。インドも早期批准を表明した。触発された欧州連合(EU)は、域内国の手続きを待たずに批准を決めた。
競い合うように名乗りを上げた各国は、COP22で自国に有利なルールを主張する見込み。発効は18年になると読み違いをしていた日本は、議論の蚊帳の外に置かれかねない。
すでに日本企業はパリ協定を先取りする動きをみせている。日立製作所は50年までに二酸化炭素(CO2)を80%削減する目標を公表した。達成の裏付けはないが「革新的な技術が必要になる。長期目標を作り、先を見越して開発に取り組みたい」(荒木由季子CSR・環境戦略本部長)という。またソニーやトヨタ自動車は新技術開発などで、CO2排出量ゼロの野心的な目標に挑戦する。
パリ協定では今後、CO2抑制のための「技術的枠組み」を議論することで合意している。日本企業が低炭素ビジネスの国際競争から取り残されないためにも、政府は遅れを挽回し、議論の場に加わってほしい。
(2016/10/5 05:00)
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