[ オピニオン ]
(2016/10/20 05:00)
経営者にはいかに困難でも、乗り越えなければならない壁がある。石油業界でいえば、人口減少やエコカーの普及に伴う需要減退への対応だ。その問題の解として、出光興産と昭和シェル石油が目指していた2017年4月の合併が、出光の創業家の反対で無期限延期となった。創業家側は出光経営陣との協議を拒み続けているが、石油市場の縮小はあらゆる利害関係者にとって切迫した課題だ。この問題にどう対処すべきかを、経営側と真剣に話し合うべきではないか。
需要減退に頭を痛めているのは石油の元売りだけではない。出光の月岡隆社長は「全国の販売店から、現場の厳しさを訴える声が上がっている」と明かす。経済産業省によると、相次ぐ廃業で全国の給油所(SS)の数は、1994年度末の6万店から2015年度末には3万2000店に半減。地方ではSSの減少による供給力低下が深刻な問題となっている。石油元売り各社は、都市部のSSが過当競争を乗り切るための環境整備と、地方の人口過疎地に対する安定供給の継続という二つの課題に直面している。
17年4月にはJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が経営統合し、ガソリンの国内販売シェアが5割を上回るガリバー企業が誕生する。こうしたことへの危機感もあり、出光系列の販売店で組織する「全国出光会」は合併支持を表明した。同会の遠藤祐司会長は創業家と経営陣の双方に「協議のテーブルについて出光の将来像を話し合い、その姿を早く販売店に示してほしい」と訴える。
創業家は、こうした現場の苦しい状況にどう対処すべきかを、経営側と真剣に議論しなければならないだろう。創業家の中心で出光名誉会長の出光昭介氏も、SSの経営問題には無関心でいられないはずだ。
国内需要が先細りする中で、SSをはじめとする各方面のステークホルダーの利益を守り、増やすために何をすべきか。昭和シェルとの合併以外に道があるのかどうか。正面から論じることが重要となる。
(2016/10/20 05:00)
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