[ オピニオン ]
(2016/10/28 05:00)
朝晩が肌寒い季節になると街にあふれるハロウィーンの飾りも、今では秋の風物詩として見慣れた光景になった。古代ケルト人の魔よけの儀式や、収穫祭など諸説ある。
キリスト教徒が少ない日本ではなじみが薄かった。大きなイベントのないこの時期の集客行事としてテーマパークなどで恒例化し、独特の仮装が子供らに受けて一大市場に成長した。東京・渋谷は今年、初めて街に集まる若者のために自動車の進入規制に踏み切る。
シンボルの一つがカボチャだ。中身をくりぬいたちょうちんや菓子類が装飾に欠かせない。原産地はアメリカ大陸だが、生産地は全世界に分布する。日本では半数を北海道、次いで鹿児島県、茨城県が担う。
戦国時代にポルトガル人が豊後国(現大分県)にカンボジア産を持ち込んだため、なまってカボチャになったと伝わる。味の面では濃緑色の西洋品種が好まれ、ハロウィーンでよく目にする赤い実は風味に劣る。
日本では健康や長寿を願って冬至にいただく。保存が効く栄養豊富なカボチャは、洋の東西を問わず寒い季節に欠かせない。おかずにも菓子にも変化する万能食材。商業イベントに乗せられたくないなんてヤボは言わず、大いに滋味を楽しみたい。
(2016/10/28 05:00)