[ オピニオン ]
(2016/11/3 05:00)
地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が、4日に発効する。日本の批准は発効に間に合わなかったが、政府は7―18日にモロッコで開く国連気候変動枠組み条約の第22回締約国会議(COP22)までの国会承認を目指している。これまで築いてきた環境分野での国際社会への日本の影響力を維持するためにも、COP22には批准国として臨みたい。
パリ協定は、先進国に温室効果ガス排出削減を義務づけた京都議定書(1997年、COP3で採択)に代わり、2020年以降に発展途上国を含むすべての国が協調して地球温暖化対策に取り組む国際条約。15年末のCOP21(フランス)で採択した。
京都議定書は温室効果ガスの排出削減量を各国に割り振ったトップダウン型だった。これに対し、パリ協定は各国の意思に基づいて全体をまとめるボトムアップ型。締約国に温室効果ガス削減の目標策定を義務づけるとともに、これを5年ごとに見直し、対策を徹底して報告することを定めた。その都度、目標や取り組みをレベルアップすることが前提だ。
各国が参加しやすい形にしたため、パリ協定には拘束力のある数値目標がない。「枠組み」を決めただけで、検証や報告などの具体的な運用方法の検討は先送りされた。協定に付随するCOP決定で、発効後に第1回締約国会議(CMA1)を開いてルールブック(実施指針)を採択する手はずになっている。
発効を受けて、COP22との併催の形で15日からCMA1が開かれる。ただ事前の特別作業部会(APA)は5月の初会合で各国が意見を述べ合っただけ。パリ協定そのものも100カ国以上で批准手続きが済んでいないとあって、CMA1は顔合わせの後、18年まで中断の手続きをとる見通しだ。
日本政府が発効の時期を見誤り、批准が遅れたことには批判がある。どうやら“実害”はなさそうだが、国際交渉の舞台では国の体面も大事だ。日本が環境先進国であり続けるために、批准は最低要件となる。
(2016/11/3 05:00)
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