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博多駅前陥没事故/福岡経済中枢に打撃−通常営業困難、緊張走る

(2016/11/9 05:00)

  • 陥没した博多駅前の道路

【福岡】福岡市博多区で8日に発生した大規模な道路陥没事故は停電や立ち入り禁止区域の設定、避難勧告などにより地元経済に大きな影響を与えた。事故発生後の10時に記者会見した福岡市は現場付近で行われていた地下鉄の延伸工事が原因として謝罪した。同工事については2014年10月にも同じ博多区で道路陥没事故を引き起こしており、今後の事故原因の究明と再発防止措置が求められる。

事故は8日5時15分ごろ、福岡市博多区博多駅前2丁目交差点付近、JR博多駅西側の商業施設・キャナルシティ博多に向けて走る「はかた駅前通り」で発生した。陥没の規模は長さ約30メートル、幅約27メートル、深さ約15メートル。現場では5時ごろから予兆があり、5時10分ごろには付近の通行止めを決断した。

現場付近はJR九州や西日本フィナンシャルホールディングス本店など大手企業が事務所を構える福岡市有数のオフィス街だが、多くの企業で建物への立ち入りが禁止された。現場では警察車両や九州電力の広報車両などが巡回。緊張感が漂う中、会社員らがビルに入れず困った様子で電話をかける姿や、近隣の公園に避難、待機する姿が多く見られた。

九州電力によると陥没現場には深さ1・5メートルより深い場所に電力ケーブルを敷設しており、5時15分ごろに周辺約800戸が停電。9時半ごろに800戸のうち低圧契約のすべてが復旧した。ただ、その後も高圧契約のケーブルに影響が残り、博多駅周辺の商業施設や金融機関などへの送電が停止した。西部ガスは7時50分から安全確保のため現場付近の中圧導管のガス供給を停止。10時10分に低圧導管を遮断し、19戸でガスが利用できない状況となった。

福岡市交通局は「近隣住民に影響を与えており、二次被害を防ぎ、再発防止に全力を注ぐ」としている。陥没を引き起こした地下鉄延伸工事については14年にも陥没事故が発生、事故防止検討委員会を設置して施工巡視を強化した経緯がある。同交通局では今回の事故に関して「予見できなかった」としているが、相次ぐ事故に対して責任の所在の明確化が求められるのは確実。一部建物では基礎部分が剥き出しになっているとの情報もあり、被害を受けた企業などへの補償問題も発生しそうだ。

【ATMなど支障なし−西日本シティ銀】

西日本シティ銀行は陥没現場に近い本店や近隣の店舗では自家発電で対応し、現金自動預払機(ATM)などのシステム運営に支障はなかった。現場付近の博多駅前支店はガス漏れの恐れがあるとして避難勧告が出たため10時ごろから臨時休業とした。外為業務やローン業務の一部のほか外貨両替は他の業務に電力を優先するため業務を制限している。

【きょうの営業時間一部変更−JR博多シティ】

JR博多駅ビル「JR博多シティ」(福岡市博多区)は、9日の一部施設の営業時間を変更する。「博多デイトス」の土産コーナーは通常8時だが、10時開店に変更。電力復旧は9日未明を見込む。8日に全店休業した「アミュエスト」や「JRJP博多ビル」は通常通り営業する。

【原因究明を注視-国交相】

道路陥没事故の原因とされる地下鉄延伸工事を行っているJVの1社である大成建設は「(事故の原因について)関係各所と協力し、現在調査している」とコメント。石井啓一国土交通相は閣議後会見で事故について「テレビの報道を見て従来ない非常に大きな陥没と実感した。大きな事故につながりかねない事案」と述べ、福岡市交通局による原因究明を注視する姿勢を示した。

(2016/11/9 05:00)

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