[ オピニオン ]
(2016/11/17 05:00)
12月のロシア大統領来日で、北方領土問題が前進するとの観測が浮上している。4島一括返還を求める原則は変わらないとして、1956年の日ソ共同宣言に基づき、色丹島・歯舞諸島の返還が現実味を帯びるかもしれない。
どんな経済効果が生まれるか、想像くらいは許されよう。面積はわずかだが、周辺海域も加えれば相当のポテンシャルがある。水産物に海底資源。豊かな大自然は観光にも適する。
色丹島だけで港湾や道路などのインフラ投資に5000億円が投入されるとの試算もある。大地震や大津波に襲われる地域なので、防潮堤など災害対策も欠かせない。
日ロ共同で開発が進むはずなので、ロシアの豊富な資源と日本の先進技術も生かされよう。サハリン産の液化天然ガス(LNG)と日本の水素エネルギー技術を融合し、LNG由来の水素タウンを形成。島内は燃料電池車に限定し、豊かな自然を守る手もある。
地理的にカナダ西海岸やアラスカに近いという利点もある。両地域ではLNGプロジェクトが多数走っている。将来はロシア産も含め、ここをLNGのハブにしたら面白い。ガスパイプライン建設も長年の懸案だ。やり方次第で、日本経済の起爆剤になる可能性を秘めている。
(2016/11/17 05:00)