[ ロボット ]
(2016/11/23 05:00)
◆アキハバラニュース・エディター リノ・J・ティブキー◆
【人気のロボットスーツ】
10月に開催された「ジャパンロボットウィーク2016」で、国内外の企業や研究機関が開発したさまざまな支援ロボットを見ることができた。それらは基本的に同じようなものだが、人間の下半身、上半身、あるいは全身の動きを支援する機種があったほか、形状や駆動源などでも違いが見られた。移動ができない通常のロボットに比べ、人間が装着する外骨格ロボット(ロボットスーツ)ではより多くの機種が展示されていた。
サイバーダインのロボットスーツは間違いなくこの分野のリーダーだ。これまでに日本と欧州で医療用の承認を受け、医療保険の対象とする保険会社も増えている。最近では第7回ロボット大賞(日本機械工業連合会と各省庁が共催)で創設された厚生労働大臣賞を「HAL医療用下肢タイプ」が初受賞し、ジャパンロボットウィークにも展示されていた。それに加え、同社の製品が米国食品医薬品局(FDA)で承認に向け審査中であることも11月初めに発表された。
こうした成功は当然とも言える。10年近い研究開発、実証実験の後、2012年後半に同社のHALは国際標準化機構(ISO)から非常に重要な認証を取得し、13年初めには日本品質保証機構(JQA)から輸出に必要なグローバルの安全承認を受けた。さらに同年後半には、ISOが支援ロボットの国際規格について、日本国内での規定を基礎とすることを決定した。ここでサイバーダインの功績がきわめて大きい役割を果たしたことは疑いようもない。
【国際化が成功のカギに】
前回の連載では、ホンダの人工知能(AI)研究について脱国際化の動きに懸念を示した。ホンダにはそれなりの理由があり、不合理なわけではない。とはいえ、サイバーダインの非常に積極的で、成功を収めた国際展開のアプローチと、対比しないわけにはいかない。
もちろん、製品の大きさや構成といった点で、ホンダとサイバーダインは全く違った会社であることは言うまでもないし、両社を比較するのはおそらく適当ではない。しかし、まぎれもなく明らかと言えるのは、サイバーダインが日本の現在および未来におけるロボット経済の一部であり、技術的な孤立主義ではないということだ。
とりあえず、サイバーダインの米国でのFDA承認のニュースを心待ちにしていよう。
(隔週水曜日に掲載、「ニュースイッチ」に英文)
(2016/11/23 05:00)