[ オピニオン ]
(2016/12/20 05:00)
科学技術の発展はさまざまなものを小型化した。半導体やセンサーはもちろん、宇宙開発にも成果が広がっている。
宇宙航空研究開発機構の固体燃料ロケット「イプシロン」が今夜、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から打ち上げられる。2013年の試験機成功を受けた強化型初号機。地球付近の高エネルギー粒子を調べる科学衛星「エルグ」を積む。今後は50キログラム以下の超小型衛星の打ち上げ計画もある。
米国には小型衛星などを利用したベンチャー企業が1000社程度あるとされ、宇宙産業が盛り上がっている。日本では超小型衛星ビジネスを手がけるアクセルスペース(東京都千代田区)などがあるが宇宙ベンチャーの知名度は低い。
11月に人工衛星の打ち上げや管理に関する「宇宙活動法」が成立し、国もようやく宇宙ビジネス整備に本格的に取り組み始めた。チャンスはこれからだ。
ギリシャ文字のE(イプシロン)は数学の世界では「非常に小さな数」を表す。イプシロンロケットは主力ロケット「H2A」よりずっと小型で安価だが、これを使って打ち上げる小型衛星の可能性は決して小さくはない。無事に宇宙空間に達し、「山椒(さんしょう)は小粒でもピリリと辛い」を実践してもらいたい。
(2016/12/20 05:00)