[ オピニオン ]
(2017/1/1 05:00)
新年。読者の皆さまの初春はいかがでしょうか。「たったひと晩の違いで何からなにまで清澄に思える」(安藤鶴夫)ような清々(すがすが)しい気分の方。まだリセットできていない人。めでたさ加減は人それぞれ。それでもまずは「明けましておめでとうございます」。
さて酉(とり)年。「トリ込む」ことから商売の年といわれる。だが保護主義が台頭し、見通し良好とは言い難い。まるでイソップの「胃袋と足」のようだ。
自国産業を保護し、他を排斥するがごとく、うまいものばかり食べる胃袋。それに足が抗議すると胃袋はこういう。「胃が働かなくなければ、結局、全身が衰弱、手も足も動かなくなる」と。ローマの詭弁(きべん)にも通じる米次期大統領発言に早くも翻弄(ほんろう)されている。
商売はカネ。思えば昨年の漢字は「金」だった。年末宝くじに一獲千金を託した庶民。夢は儚(はかな)く破れ、金欠病にいら立つ。年金も細る一方。金科玉条のようにアベノミクスを喧伝(けんでん)している議員の金城湯池も干上がるかも。誰のさし金か、今年も金の字が活躍しそうだ。
カネに“円”のない春秋子は酒を抱いて『めでたさも一茶位や雑煮餅』(子規)と寝正月。それでも、せめて見る初夢は「飛ぶトリを落とす勢いの景気回復」といきたい。
(2017/1/1 05:00)