- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/20 05:00)
15日の超小型衛星の軌道投入を目的とした宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超小型ロケット打ち上げは失敗したが、今後も超小型衛星の開発が続くのは確実だ。100キログラム以下の超小型人工衛星は深宇宙への探索など、さまざまな用途を安価にできると期待が高まる。超小型衛星を使うプロジェクトを紹介する。
海外では火星などの探査技術の一つとして、宇宙機を大気圏に突入する際に、熱などから機体を保護しゆっくりと地上にたどり着く「膜面エアロシェル衛星」が注目されている。
日本でこの衛星開発に向け取り組むのが、東京大学の鈴木宏二郎教授や日本大学の今村宰准教授を中心とする研究チームだ。耐熱性の柔らかい布製の構造物をガスで膨らませ、大気圏へ突入する実証用衛星「EGG」のプロジェクトを進める。
プロジェクトの目的は主に二つ。一つは衛星が大気圏に突入した際の飛行データの取得だ。もう一つは全地球測位システム(GPS)を利用した宇宙空間での位置情報の取得と米国のイリジウム衛星との通信実証実験だ。
展開前の衛星の大きさは11センチ×11センチ×34センチメートルの直方体で質量は4キログラム。16日には、国際宇宙ステーション(ISS)からEGGを軌道に投入。直径80センチメートルの六角形型の構造物の展開やイリジウム衛星との通信によるデータのやりとり後、2週間から1か月くらい後に大気圏で燃え尽きる予定だ。
こうした実証実験は将来の宇宙開発にどのようにつながるのか。鈴木東大教授は、「EGGは大気圏で燃え尽きるが、最終的に目的とする衛星は地上で回収することを想定している。また今回の実験は小型探査機を火星大気へ突入させる予行演習になるのでは」と将来の惑星探査技術の可能性に期待する。
(冨井哲雄)
(金曜日に掲載)
(2017/1/20 05:00)