[ オピニオン ]
(2017/1/27 05:00)
流通を管理することはタブーとされている。一方で高級ブランド品の価値の維持など、企業にとって悩ましい課題もある。
中古品の流通市場が活況を呈している。インターネット上で個人から中古のブランド品を買い取ったり、個人売買を仲介したりするサイトが続々と登場している。
中古市場の台頭は、高級ブランドを展開する企業にとっては脅威である。流通関係者に聞くと、バッグのような装身具では焼却処分をすることもあるらしい。実際にブランドを持つ企業が中古を買い取って焼却しているのかどうかは分からない。しかし状態の悪い中古品が流通すると、ブランドの価値を毀損すると考えれば納得がいく。
かつて化粧品では、高級イメージを維持するために一般のドラッグストアや化粧品店では売らず、百貨店に流通チャンネルを絞り込むという戦略があった。しかし百貨店そのものが地方都市などで相次いで閉鎖される時代を迎えて、高級ブランド品は販路がなくなって苦慮しているという。
スマートフォンは、本来なら5万円以上もする機種を長期契約の通信料と一体化することで入手しやすさを演出してきた。こうした高価な機器は中古市場が形成されても不思議はなく、実際に米国では通信キャリアが調整ずみの中古端末を販売している例がある。
日本の場合、キャリアは中古売買に積極的に関わらないことで最新機種の魅力を維持する戦略をとっている。今後、この分野でも中古市場が台頭すれば新たな対応を迫られよう。
メーカーや流通業者が、自社製品の価格を管理することは許されない。ビール類のように、課税当局が業者の免許取り消しまで含めて価格下落に介入するのはレアケースである。
ただ企業が、自社のブランド価値にこだわることは理解できる。原産地表示や地域ブランドの認定制度など、新たなブランド獲得の手法も生まれている。自由競争に反しない形で、ブランド価値を維持していく方策を見つけたい。
(2017/1/27 05:00)
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