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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/7 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が行っていた、ロケットや人工衛星の残骸など、宇宙軌道上に散る「宇宙ゴミ」を取り除くための要素技術の検証実験が一部成功で終わった。国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運び込んだ後の国産物資補給船「こうのとり」6号機を利用。エンドマスと呼ばれる“たこ”に見立てた円筒形の装置の放出には失敗したが、電子源から電子を放出し電流を流す実験には成功した。
筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で6日開かれた会見で、実証実験の責任者である井上浩一研究開発部門KITE推進チーム長は、「エンドマスの放出がうまくいかなかったため、結果として100点満点中50点」と悔しさをにじませた。
導電性のワイヤを使い、地球周回軌道上に浮かぶ宇宙ゴミと「デブリ除去衛星」とを結んだ後、ワイヤに電流を流せば地磁気と電流により、宇宙ゴミの進行を妨ぐ力が働く。
その後、宇宙ゴミの高度が下がって地球の大気圏に突入し燃え尽きるというのがJAXAの検証実験の仕組みだ。2020年頃に宇宙ゴミの地球への突入実験を目指しており、今回はその中で電流を安定的に流す技術を検証できた。
一方のエンドマスを放出できなかった原因は現在調査中。「エンドマスを固定していた四つのボルトのうちの、一つが分離されなかったため放出できなかったのではないか」(井上チーム長)と推測している。
有人宇宙技術部門HTV技術センターの植松洋彦(ひろひこ)センター長は、「(今後打ち上げる)こうのとり7―9号機で宇宙ゴミの除去技術の実証実験をするかは分からない」としつつ、「(可能な限り)宇宙実験の場を提供したい」と協力に意欲をみせた。
(2017/2/7 05:00)
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