働き方改革実現会議、残業上限引き上げ−月平均６０時間、年７２０時間

政府は１４日、働き方改革実現会議（議長＝安倍晋三首相）を首相官邸で開き、「三六協定」での残業時間の上限を「月４５時間、年３６０時間以内」と規定した上で、罰則付きの特例として労使協定締結を条件に「月平均６０時間、年７２０時間」に上限を引き上げる政府原案を提示した。政府はこの原案を基に、３月末にまとめる実行計画に残業規制を盛り込む。今通常国会で関連法の改正を目指す。

現行の労働基準法では労働時間を「１日８時間、週４０時間まで」と規定している。企業が労働者を残業させるには労使協定の三六協定を結ぶ必要があるが、厚生労働省は残業時間の上限を月４５時間、年３６０時間以内にとどめるよう告示している。

ただ、強制力が無い上、特別条項を設ければ年に６回まで上限を超える残業時間を設定できるため、政府は年７２０時間の厳守を条件に、三六協定に関して６０時間、年７２０時間への上限の引き上げを認める。

残業時間を一律に規制すると自動車や運輸業など経営側からの反発が予想される。

このため繁忙期に残業時間が延びたとしても、その分閑散期で調整でき、企業側は柔軟に対応できるようになる。

ただ、繁忙期は月１００時間を認めるべきだとの産業界の意見は連合の反発で見送られた。