[ ICT ]
(2017/2/18 12:00)
米IBMはドイツ・バイエルン州ミュンヘンに設置した「ワトソンIoTセンター」を16日に正式オープンした。コグニティブ・コンピューティング・システム「ワトソン」を活用したIoT(モノのインターネット)事業についてのグローバル本部の位置付け。ミュンヘンを本拠地とする自動車大手のBMWをはじめ、パートナー企業の技術チームが同センターに入居し、共同でIoTでのイノベーション創出を進める。
同センターは2億ドル以上の資金を投じて開設した。IBMに所属する約1000人のIoT専門家を配置するという。2016年12月には同センターを舞台にBMWとの共同研究開発を発表。BMWの研究開発機能の一部が同センターに移り、自動車を運転する個人個人に合わせて人工知能(AI)がドライバーを支援する技術を開発する。
今回、ワトソンIoTセンターでの入居パートナーとして新たに加わった民間企業は、ITの技術商社である米アヴネット、大手金融機関の仏BNPパリバ、世界的なITコンサルティング企業である仏キャップジェミニ、ICTソリューションプロバイダーの印テックマヒンドラの4社。ワトソンIoTをめぐっては、リコーや米ビザ、独ボッシュ、独シェフラーなどもIBMと協業関係にある。
うちBNPパリバは、ドイツにある傘下のリテール向けデジタル銀行、コンソルスバンクの開発者が同センターに入居し、金融商品や金融サービスでのイノベーションにつなげる。また、キャップジェミニはワトソンIoTをインダストリー4.0はじめ、さまざまな産業分野の顧客のデジタル化支援に役立てる。テックマヒンドラもインダストリー4.0関連や製造業のほか、農業、ヘルスケア、保険、銀行、自動車といった分野での新たなソリューションをIBMと共同で作り上げる。
一方、ドイツ政府の肝いりで発足し、欧州を代表するIoTデータ通信規格標準化団体のEEBusも同センターと協力。EEBusには欧州の自動車メーカーやボッシュ、ABB、シュナイダーエレクトリックなど60社以上が会員として加わり、スマートホームや電気自動車(EV)、太陽光発電システムなどにまたがるシームレスなIoT通信規格の標準化を進めている。ワトソンIoTセンターとの協力で、グローバルでの産業間共通の規格づくりと普及に弾みをつける。
(2017/2/18 12:00)