[ オピニオン ]
(2017/2/20 05:00)
外需依存に陥っている日本経済を打開する有力な方法は「観光立国」を加速し、消費の起爆剤にすることだ。
政府は2020年に訪日外国人数を倍増の4000万人、30年に6000万人達成という目標を掲げ、実現に向けた「観光立国推進基本計画」を年内にもまとめる。少子化の進行で内需の大幅な拡大を期待できないだけに、旅行収支の黒字を増やすことで日本の“稼ぐ力”を引き上げることが求められる。
この高い目標をクリアするには、経団連の提言が参考になろう。提言では交通インフラやWi―Fiといった受け入れ態勢だけでなく、観光関連産業の成長力強化の必要性を指摘している。例えば自動運転やロボットなどへの開発投資は、観光業の労働力不足対策のみならず観光資源の魅力発信につながる。
また企業による国立公園の多様な活用や旅行業法見直しなどの規制改革も必要となる。さらに観光庁の人員・予算を拡充するため、複数省庁にまたがる政策を一本化し、将来的に「省」に格上げすることも検討に値すると提言している。
日本の経済成長の柱にするためにも、政府には踏み込んだ施策が期待される。ただ現状では党利党略や業界間の利害調整が絡み、健全で魅力的な観光立国の道筋がみえていない。
昨年の臨時国会で成立した統合リゾート(IR)法の審議過程では、自民党が日本維新の会とのパイプを広げようという狙いがうかがえた。民進党などが反発したギャンブル依存症対策の議論は、今通常国会に委ねられている。
今国会で成立が見込まれる民泊新法は「年間営業日数の上限180日」を長すぎると反発する旅館業界と、民泊参入を狙う不動産業界の利害が錯綜(さくそう)する。政府が利害調整を誤れば、民泊の本格解禁はおぼつかない。
世界経済の先行き不透明感が強まっている。外需への過度な依存から、内需主導の成長に移行することが肝要だ。観光立国は疲弊する地域経済の活性化にもつながる。政府は最優先で関係施策を実現してほしい。
(2017/2/20 05:00)
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