[ オピニオン ]
(2017/2/27 05:00)
本来の意義を確認した上で、単なる地方税の奪い合いではなく、地域産業育成に結びつける発想が必要だ。
ふるさと納税について、さまざまな声が上がっている。高市早苗総務相は、寄付を受けた自治体が商品券などを返礼品にすることを問題視し、改善策の検討を指示した。一方、東京都区部など税収減が目立ち始めた都市部の自治体からは、危機感ともとれる批判が聞かれる。
制度の導入は2008年度。住民が居住地以外の自治体に一定の手続きで寄付をすれば、その額に相当する住民税などが減額される。多くの自治体が寄付に対して返礼品を送る。寄付者からみると、納税額は同じで返礼品がもらえるという特異な制度である。もともと賛否両論あったが、15年度の制度拡充で認知度が高まり、寄付の急増に伴ってあつれきが表面化した。
ふるさと納税の目的のひとつは大都市、特に東京に集中している地方税収を他地域に振り向けることだ。都区部の悲鳴は理解できるが、予想された事態として対処する必要があろう。
一方、返礼品の問題は悩ましい。本来は地域の特産品紹介を想定したものだ。しかし現実には魅力的な返礼品を掲げた自治体ほど多くの寄付を集めるため、商品券のような換金性の高いものが散見される。返礼品が換金されれば、実質的に寄付者が課税の一部を免れることになる。高額な宝飾品等にも転売の懸念があり、規制は当然だ。
返礼品が過大になることを防ぐには、寄付額に対する返礼品の金額比率をガイドラインとして示すのがひとつの方法だろう。その場合でも一律に何割と定めるのでは創意工夫が生きない。地域経済への波及効果の大きな商品・サービスを優遇する仕組みがあるべきだ。
商品券のような特殊なケースを除いた返礼品のうち、人気があるのはコメや肉類だという。しかし農産品の産業連関は必ずしも効果が大きくない。自治体は寄付金集めの競争ではなく、地域産業の育成を意識した返礼品を生み出すことに知恵を絞ってほしい。
(2017/2/27 05:00)
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