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[ エレクトロニクス ]
(2017/3/14 19:00)
東芝は14日、2016年4~12月期決算を4月11日まで再延期した。再延期は極めて異例。東証上場の廃止が迫る深刻な経営状況を踏まえ、綱川智社長は危機の根源である米原発子会社ウエスチングハウス(WH)に関し、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請も「選択肢」に連結対象から外す考えを表明した。稼ぎ頭の半導体事業も過半を売却する方針で、業容を大幅縮小し、生き残りを図る。
綱川社長は東京都内で記者会見し、決算の再延期について「多大な迷惑と心配を掛け、深くおわびする」と陳謝。WHの破産法申請に関しては「選択肢ではある」との認識を示す一方、「決まったものはない」とも語った。
再延期は、WHの内部統制問題の調査で、一部経営者が会計処理で不適切な圧力をかけたと認定され、16年4~12月期以前の決算についても追加調査が必要となったため。東芝は2月14日、内部通報で指摘された「不適切な圧力」を調べるため、決算発表を1カ月延期していた。
東芝は4月11日までに4~12月期決算の四半期報告書を関東財務局に提出できず、再々延長が認められない場合、8営業日後に上場廃止となる。財務局が3度目の延期を認めた例はなく、緊迫した状況が続く。
WHによる米原発建設費用の見積もりの甘さから、東芝は17年3月期に原発事業で7125億円の損失を計上し、負債が資産を上回る債務超過に陥る見通しだ。
東証、東芝株を15日付で監理銘柄に指定
東京証券取引所は14日、東芝株を上場廃止の恐れがあることを示す「監理銘柄」に15日付で指定すると発表した。不正会計問題に伴い、内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」に指定してから1年半が経過したため。今後の内部管理体制に関する審査で改善策が不十分と判断された場合、東芝株は上場廃止となる。
東芝は米原発事業での巨額損失の発生で2016年度(17年3月)末の債務超過が不可避の状況であり、8月1日に現在の東証1部から東証2部に降格となる公算が大きい。17年度末も引き続き債務超過になれば上場廃止となる。
東証は15年9月に東芝株を、上場を維持しつつ内部管理体制の改善を求める特注銘柄に指定した。特注銘柄の解除に向け東芝は15日、再発防止策を盛り込んだ「内部管理体制確認書」を東証に再提出する。昨年9月に続く2度目の提出で、改善策が不十分と判断されれば、上場廃止が決まる。一方、改善策が十分と見なされた場合、特注銘柄指定が解除され、監理銘柄指定も同時に解除される。
審査は、日本取引所グループ(JPX)傘下の自主規制法人が行い、通常は3カ月程度かかる。決算報告ができない中での確認書提出は異例の状況。JPXの清田瞭最高経営責任者は「審査には相当時間がかかる」との見方を示している。
東芝の綱川智社長は、14日の記者会見で「信用を確保しつつ、上場廃止にならないよう、努力したい」と述べた。(時事)
(2017/3/14 19:00)