[ オピニオン ]
(2017/3/22 05:00)
アジア新興国の高齢化対策を日本が支援し、同時にノウハウを持つ企業が海外展開していくことは相互にメリットのある施策と言える。
日本の優れた介護サービスをアジアに展開しようという機運が高まっている。国が主導する官民連携組織「国際・アジア健康構想協議会」が2月に始動。民間レベルでも事業者間の連携を図る基盤づくりが進む。
日本は平均寿命が世界最長であり、同時に国を挙げて高齢化に対応している「課題先進国」だ。アジアの新興国は日本以上に急速な高齢化を迎えると予想されている。介護サービスの整備が遅れる中で、日本の経験は大いに役に立つだろう。
政府は昨年7月に「アジア健康構想に向けた基本方針」を策定。並行して外国人技能実習制度に介護職を追加した。出入国管理法の改正では在留資格に介護を取り入れ、在留期間も最長3年から同5年へ延長するなど日本がリーダーシップを発揮しやすい環境を整えた。
関連企業にとっては、新興国の介護市場は新たな事業機会として魅力だ。だが現地で事業運営する上には多くの課題とリスクがある。実際に先行して参入を果たした事業者は苦戦している例が目立つ。
官民連携で発足した新協議会は、事業者による知見やノウハウの共有、リスクへの対応力を高める大切なプラットフォームになる。今後は日本の事業者と進出相手国の政府や自治体、現地の事業者との調整役としての機能も期待される。
企業の進出にあたっては、新興国にあわせたサービスが必要だ。国によって経済発展の度合いが異なり、介護そのものの社会的意義が認識されていない国もある。日本式の介護サービスが優れていたとしても、それは万能ではない。実情を踏まえつつ、上手に現地化していくことが重要になる。
介護を担う人材の育成・確保も不可欠だ。日本式の事業運営にこだわるのではなく、現地のニーズに即して、安心・安全など日本の良さを生かした事業展開が求められる。
(2017/3/22 05:00)
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