[ オピニオン ]
(2017/3/23 05:00)
地価の上昇は資産デフレからの脱却と、期待収益の高まりを意味する。土地を使いこなす創意工夫で、日本経済のデフレ脱却を確実なものにしたい。
2017年公示地価(1月1日時点)が全国平均で2年連続の上昇となった。用途別では住宅地が9年ぶりに下落を脱し、横ばいレベルながらもプラスに浮上。前年に反転の原動力となった商業地は上昇幅を広げ、2年連続のプラスだった。
公示地価は主に都市計画区域内の土地を対象に、利用して得られる便益から算定した「正常な価格」。住宅地、商業地などの用途区分ごとに全国各地で標準的な土地を選定し、不動産鑑定士が厳格に評価して価格を弾き出す。調査地点は全国約2万5000カ所。17年は住宅地で3分の1強、商業地で半分近くの地点が上昇した。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏では住宅地が前年並みの小幅な上昇だったものの、商業地は総じて上昇基調を強めた。地方圏においても札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4市では住宅地、商業地とも三大都市圏を上回る上昇をみせ、そのほかの地域の下落幅も縮小した。
住宅地の需要は、低金利と住宅ローン減税などによる下支え効果もあって底堅く推移。東京圏では東京23区すべてが上昇した。千代田、中央、港の都心3区では上昇の勢いは鈍化したが、周辺区の上昇率が高まっており、利便性で都区部に根強い需要があることが分かる。
地方圏でも鉄道の延伸や新駅設置、市街地再開発などの基盤整備がトリガーとなった上昇地点が散見される。
商業地では東京・銀座通り沿いの一等地が前年に初めて1平方メートル当たり4000万円を超え、17年は同5000万円台となった。ただ三大都市圏で最も高い上昇率となったのは大阪。訪日外国人客の宿泊地としてホテル需要が高まっている。
土地は人々が集ってこそ富を生む。地域活力を引き出す行政と民間の創意を“車の両輪”として、土地の持つ生産性を高め、魅力の向上をはかることが日本経済の再生につながる。
(2017/3/23 05:00)