[ 化学・金属・繊維 ]

住友鉱、チリ銅鉱山の2期拡張中止 採算悪化で既存設備増強

(2017/3/24 05:00)

住友金属鉱山はチリのシエラゴルダ銅鉱山開発計画で、当初予定していた第2期の事業拡張を中止する。銅価格が低下し、採算性が悪化する中、早期の事業黒字化には追加投資が必要な拡張計画の見直しが必要だと判断した。これに合わせ、既に稼働する第1期生産ラインで鉱石処理能力を20―30%引き上げる方針。計画中止で想定より銅の生産量(銅量ベース)は半減するが、既存設備の部分増強など少額投資でその一部を補う体制を築く。

住友金属鉱山は2011年にシエラゴルダ銅鉱山開発に参画。当初は29億ドル(3000億円規模)を投じ、14―15年に年11万トンの銅生産設備を整えた後に追加投資し、第2期の17―18年に同様のラインを1本増設、合計で同22万トンを目指していた。だが、銅価下落に開発費の高騰が重なり採算性が悪化。15年4―12月期連結決算で持分法による投資損失689億円を計上し、業績低迷を招いていた。

投資を圧縮し採算性改善を進める中で、開発費が約8億ドル(約900億円)の第2期拡張計画は見送る。一方、第1期に整備した生産ラインの鉱石処理能力を20―30%増強する。実現すれば銅生産量は足元の年9万5000トンが、12万―13万トンになる見通しだ。

中里佳明社長は「将来、良い鉱脈に当たれば銅生産量が年14万―15万トンに届く場面が出てくる」との見方も示した。

現在、共同運営するポーランド産銅大手のKGHMポルスカ・ミエズが、増強する設備や実施時期など詳細を詰めている。「関係会社が協議しており、追加投資はかなり軽微なものになる」(中里社長)とみている。

当初年産1万1000トンを目指していたモリブデンの実収率は、「計画に対して50%程度遅れており、足元の大きな課題」(同)とし、優先してテコ入れする方針だ。

(2017/3/24 05:00)

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