[ オピニオン ]
(2017/3/27 05:00)
50代も後半になると、同窓会の機会が増える。懐かしい顔に会って、仕事のしがらみのない悪ガキに戻れるのが楽しい。仲間うちの“万年幹事”が、会合の口実を探ってくれる。
大手企業に勤める級友の海外栄転が決まり、壮行会のお呼びがかかった。何百人もが働く法人をいくつか傘下に持つ現地の代表。ただ決裁権はなく、社としての外交官のようなものだとか。「これが最後のポストかな」と漏らした言葉に“花道”という表現が頭をよぎった。
壮行会を土壇場で欠席した級友。予想外の社長交代で、その対応に追われているとメールで知らせてきた。人事の責任者ともなれば致し方ない。次回は必ず―と約束し合う。
帰宅すると、地元で店を営む級友の親から廃業を知らせるはがき。聞けば脳梗塞を発症し、会話も不自由なまま完治の見込みもなく退院を求められているという。「病状は一進一退で、とても商売はできない」。店を譲って引退した親御さんの顔を見るのが辛い。
春は出会いと別れの季節。ただ年齢を重ねるほど、新たな出会いより別れの方が印象に残るような気がする。きょうを無事に迎えられたことを喜び、大切に生きろということなのだろう。友送る東京(みやこ)の空に桜(はな)便り―。
(2017/3/27 05:00)