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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/4/3 05:00)
■構造改革進め固定費削減/中国合弁と「分担」推進
川崎重工業は不振が続く造船事業について、2020年度までに国内の事業規模を約3割縮小する構造改革に乗り出す。国内の商船建造を坂出工場(香川県坂出市)に集約し、中国の合弁造船会社に商船建造をシフトする。足元の2年は海洋開発向け船舶建造の工程混乱などを受け、多額の損失を計上してきた。規模縮小で棚卸し資産や固定費を圧縮し収益体質を改善。全社の経営指標である税引き前ROIC(投下資本利益率)8%以上を必達目標に掲げる。(長塚崇寛)
国内では20年度までに、坂出工場に二つある建造ドックを一つに減らす。「ガス関連技術や環境技術の開発に注力するほか、中国合弁2社の人材育成や技術支援を強化する」(富田健司常務)方針だ。神戸工場(神戸市中央区)は液化水素運搬船などに建造を絞り、潜水艦建造に軸足を移す。
約2500人の人員は削減せず、定年退職による自然減や他部門への配置転換で対応。造船事業の売上高は1000億円規模だが、20年度に700億円規模に縮小する見通し。
一方、坂出工場と中国合弁2社の一体運営を加速する。坂出工場で新船型のガス船をロット(複数)受注し、1番船を坂出工場で建造。2番船以降を中国2社で連続建造し、生産コストやリードタイムの短縮につなげる。
同様に造船事業の改革を進める三菱重工業も、今治造船、名村造船所と業務提携で基本合意した。建造ドックの相互活用や新船型の設計・開発、資材の共同購入が戦略の柱となる。大島造船所とも今夏の合意を目指し協議を継続する。
各社が構造改革を急ぐのは、歴史的な海運市況の低迷に伴う船腹過剰がその根底にある。台頭する中国・韓国勢との競争も激化。各社は2年分以上の仕事量を持つが、足元の受注は振るわず、19年以降の売り上げ確保に不透明感が漂う。
受注量にそぐわない過剰な設備投資で経営破綻に追い込まれた中・韓勢も、政府支援で息を吹き返しつつある。海外勢への対抗策として事業統合など大型再編の臆測も飛び交った国内造船だが、小幅な改革にとどまった。
ジャパンマリンユナイテッドの三島愼次郎社長は「企業の一部門では閉塞(へいそく)感がある。大きな器の中で存分に戦える体制作りが必要」と指摘する。今回、沈黙を守った三井造船は18年に持ち株会社への移行を検討。造船事業の分社で「他社との提携もしやすくなる」(幹部)とした。今後の市況次第で各社は、さらに踏み込んだ改革が求めらそうだ。
(2017/4/3 05:00)