[ オピニオン ]
(2017/4/5 05:00)
百貨店の閉店が相次いでいる。長年、この分野を担当してきた記者としては寂しい限りだ。あの店には取材でよく行った、あの店長は今どうしているか―などと考える。
不透明なのは、百貨店の売り場を主戦場としてきた衣料や装飾品などの高級ブランドの行方だ。これまでは百貨店という“器”で付加価値をつけて、高価な商品を売るマーケティングを基本としてきた。相次ぐ販路の閉鎖は痛手に違いない。
しかも百貨店閉店は国内だけでなく、米国や中国などでも起きている。こうした世界的傾向の背景には、アマゾンに代表されるネット通販市場の拡大があるとされる。では世界の高級ブランドは、現状にどう立ち向かおうとしているのか。
イタリアの「ジョルジオ・アルマーニ」、米「カルバン・クライン」は日本市場の衣料品のネット通販大手・スタートトゥデイのショッピングサイト「ゾゾタウン」に出店する。つまりネット通販を販路の一つに加えた。
逆に「LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン」のように、ネット通販に距離を置き、出店に消極的とされるブランドもある。百貨店を味方にしていた高級ブランドが“昨日の敵”だったネット通販を“今日の友”にできるかどうか。
(2017/4/5 05:00)