[ オピニオン ]
(2017/4/6 05:00)
5日朝の北朝鮮による新たなミサイル発射に“大きなだだっ子”を想起する産業人が少なくないだろう。なにか気に入らないことがあると、力によって自らの存在をアピールする。
武力しか誇示するものがない瀬戸際外交だと切り捨てるのは容易だが、周辺国にとっては大きな脅威。公式には北朝鮮と休戦中の韓国は、大統領の不在で政治的に混乱したままだ。日本が駐韓大使を帰任させたのは、適切なタイミングだった。
弾道ミサイルの製造はロケットと同じ技術が必要。世界的にも、自力の打ち上げ能力を持つ国は数えるほどしかない。北朝鮮は国際的な孤立の中で、民衆の困窮を省みずに軍事に傾斜した技術開発を続けてきた。そこで高度な技術を獲得したことに警戒を強めるほかない。
米国のトランプ政権は、通商と同様に安全保障でも2国間交渉に軸足を置く構え。従来の6カ国協議とは異なり、今後は日本が交渉の場に参加できないことを想定しなければならない。
産業界は繁栄の礎である平和を常に望んでいる。戦火を伴わない冷戦関係でも、周辺諸国との貿易の縮小、リスクの増大がビジネスの障害となる。東アジアの脅威について政府は産業界に対し、情報を的確に提供することを望む。
(2017/4/6 05:00)