[ オピニオン ]
(2017/4/18 05:00)
自動織機を完成した豊田佐吉、真珠の養殖に成功した御木本幸吉、世界で初めてビタミンを抽出した鈴木梅太郎…。特許制度公布百周年を記念して特許庁が1985年に選定した「十大発明家」である。
ただ、10人の中に「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重の名前がない。制度が始まる前の幕末から明治初期にかけて活躍したため、対象外となったのだろう。
十代からからくり人形の仕掛けを次々と考案し、中でも現存する「弓曳童子」は最高傑作といわれる。矢台に置かれた4本の矢を人形が順番に手に取り、連射する。4回のうち1回は的を外すよう細工され、能面効果で矢が的に当たった時には満足げ、外れた時は悔しげな表情を浮かべるように見えるという。
田中は「懐中燭台」「無尽灯」「万年時計」などを製作し、日本初の蒸気機関車の模型や蒸気船建造を手がけた。1875年(明8)には東芝の源流となる電信機メーカーを設立した。東芝の創業者は偉大な発明家でもあった。
4月18日は「発明の日」。今週は科学技術週間でもあり、各地でさまざまなイベントが開かれる。資源の乏しい日本は知的財産の活用が極めて重要だ。少しでも発明や知財に触れるため出かけようか。
(2017/4/18 05:00)