[ 政治・経済 ]

北朝鮮緊迫、円高進行−日米経済対話、対立回避へ

(2017/4/18 05:00)

  • ペンス副大統領訪韓後、来日する(南北朝鮮の軍事境界線に接する非武装地帯を視察、左から3人目=AFP・時事)

緊迫化する北朝鮮情勢などを背景に、安全資産とされる円を買う動きが広がっている。17日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=108円台前半で推移。18日の日米経済対話も北朝鮮問題を見据えつつ、初会合であることからも日米の対立を回避し、議論の枠組み設定にとどまるとの見方が出ている。ただ地政学的リスクや混沌(こんとん)としている仏大統領選などを材料に円高基調が継続すれば、日本企業の収益に大きな足かせとなる。

17日の東京市場は北朝鮮情勢に加え、先週末に発表された米国の経済指標が低調だったことが材料視された。米国の3月の消費者物価指数は前月比0・3%低下、同月の小売売上高も同0・2%減と2カ月連続で減少。先行き不透明な仏大統領選も円買い圧力を強めているとみられる。

日銀がまとめた3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の2017年度の想定為替レートは1ドル=108円43銭。事業計画の前提である想定レートを超えた円高が定着すれば、企業収益に大きな影響を及ぼす。

日本経済は個人消費の回復力が弱い家計部門に代わり、輸出や生産が持ち直している堅調な企業部門がけん引している。この企業部門にブレーキがかかれば景気の回復力が鈍化しかねない。

18日には、麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領による日米経済対話の初会合が都内で開かれる。日米の貿易不均衡是正に向けた2国間交渉の行方に注目が集まるが、北朝鮮情勢をにらんで両政府は対立色を回避するとの見方が出ている。今後議論する論点の整理や関連省庁による作業部会の設置など、議論の枠組みを決める会合になるとの見立てだ。

ニッセイ基礎研究所の窪谷浩主任研究員は「今回の経済対話で驚くような政策が出てくるという考えには懐疑的だ。米国のスタッフ不足、準備不足から具体的な政策の中身は議論できないだろう」と指摘する。

その上で「米国は北朝鮮問題で協力を得たい中国には通商問題で強く出られないが、同盟国の日本には強く出られるとの見方もある。だが日米とも、対外的には日米首脳会談より後退したとの印象は与えたくないのではないか」と見通す。

また今後の為替相場について、日本総合研究所の井上肇副主任研究員は「北朝鮮問題を中心とした地政学的リスクや仏大統領選を控えた政治的な不透明感を背景にドル高になりにくい状況にある。米国経済への過度な楽観論も修正が必要」とし、「しばらくは円高リスクを警戒するべきだ。“トランプ相場”前の1ドル=105円の水準を目指す展開も予想される」とみている。

■5営業日ぶり反発、株1万8355円

17日の日経平均株価は前週末比19円63銭高い1万8355円26銭で5営業日ぶりに反発した。イースター(復活祭)休暇で海外投資家の取引が弱く、売買代金が今年最低になり、低調な取引。東京外国為替市場のドルの対円相場は、15時時点で1ドル=108円34―34銭。北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐる地政学的リスクによる円高懸念は引き続きくすぶっている。18日に始まる日米経済対話で為替をめぐる動向次第で、円買いの動きが進む可能性も指摘されている。

(2017/4/18 05:00)

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