[ オピニオン ]
(2017/5/11 05:00)
クラシックのコンサート情報をチェックしようと、音楽ホールのウェブサイトを開いたら気になる告知があった。「ホール天井工事に伴う休館について」。東日本大震災時に大空間建物の天井が多数落下したのを受け、建築基準法施行令を改正したためだ。
高さ6メートル以上、広さ200平方メートル以上の天井が対象で、各地の劇場や音楽ホールで行われている。バブル期に建設された施設が多く、設備の老朽化と相まって工事に踏み切るケースが多い。休館する施設が相次ぎ、会場不足により音楽業界から「2016年問題」と指摘された。
企業が運営する施設も例外ではない。中部電力は名古屋市内で運営する二つのホールで、18年から補強工事に入る。期間は8カ月から12カ月近くになる見通しだ。
その一つである名古屋市中区の電気文化会館にある「ザ・コンサートホール」は、395座席と小規模ながら、市内中心部という好立地もあって高稼働率を維持する。音の響きが良く、演奏家からの評価も高い。
耐震工事に多額の費用がかかるのは事実だ。ただ最近足を運んだコンサートで、指揮者は「魅力的な街には芸術が根付いている」と話した。地域の文化を支えるのも企業の重要な使命である。
(2017/5/11 05:00)