[ オピニオン ]

社説/「松本関経連」が船出−関西経済活性化へ実行力に期待

(2017/5/26 05:00)

関西経済連合会の新会長に、住友電気工業の松本正義社長が29日に就任する。関西経済界の新たな顔として、強いリーダーシップを期待したい。

住友電工は、関西発祥の住友グループの主要企業が相次ぎ本社機能を東京に移す中、大阪に本社を置き続け、グローバル企業へと成長してきた。同社を率いてきた松本氏は大阪本社にこだわった理由を尋ねられるたびに「住友グループは400年かけて大阪に育てられてきた。受けた恩は返さないといけない」と、自らの信念を貫いている。

ただ関西で、かつての繊維や電機といった地域を大きくけん引する有望産業が生まれていない。地盤沈下が続く関西経済の活性化は古くて新しい問題だ。インバウンド(訪日外国人)による観光需要の拡大、2025年に開催する万国博覧会(万博)の大阪誘致活動など、盛り上がる話題はある。一方、ぶれない戦略を持ち、根幹となる産業の育成が求められる。

関経連は「関西ビジョン2020」という長期ビジョンを策定し、関西を発展させるキーワードに「環境」「技術力・ビジネス力」「中堅企業」「アジア・グローバル」を掲げる。情報家電、先端医療、素材などの産業集積や、モノづくり基盤を支える技術力ある中堅企業群の存在など、関西の強みや特徴を生かし、アジアと連携するモノづくり拠点を築いていくことも重要だ。

松本関経連の役員体制は重厚な布陣となる。副会長として新たにJR西日本の真鍋精志会長、クボタの木股昌俊社長が加わり、関西電力、パナソニック、ダイキン工業、阪急電鉄など主要企業も副会長職で引き続き支援する。さらに事務局トップの専務理事に、国とのパイプ役も期待される前近畿経済産業局長で住友電工執行役員の関総一郎氏を起用した。

松本関経連には、自主独立の気概で面白いコトをやるといった“関西スピリッツ”を大いに発揮してほしい。経営では結果を出すことにこだわってきた松本氏だけに、関経連でも具体的な実行力を望む。

(2017/5/26 05:00)

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