[ オピニオン ]
(2017/5/25 05:00)
日米欧の主要7カ国(G7)は、北朝鮮やシリア情勢など地政学的リスクへの連携強化はもとより、経済分野でも結束を強化してもらいたい。
トランプ米政権発足後、初のG7サミットが26、27の両日、イタリアで開かれる。緊迫化する北朝鮮情勢、相次ぐテロ、中国の東・南シナ海進出、シリア情勢などの地政学的リスクへの対応が主要議題になる見通しだ。G7の結束力を世界に示し、毅然(きぜん)と対応する姿勢が表明されることを期待したい。
G7の結束力は経済分野でも強めたい。米国第一主義を掲げるトランプ政権との対立を避けるという理由だけで、自由貿易を推進してきたG7の枠組みを崩すことがあってはならない。
日本政府と世界貿易機関(WTO)はG7サミットに先立ち、自由貿易の重要性を訴える異例の共同声明を発表した。ドイツのメルケル首相に次ぐ長期政権の安倍晋三首相が指導力を発揮し、反保護主義の姿勢を打ち出すことが期待される。
先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)では自由貿易をめぐって意見集約できず、共同声明の採択が見送られた。だが議長声明で「あらゆる保護主義に対抗する」との一文が盛られた。3月の主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)で反保護主義の表現が共同声明から消えていただけに、議長声明は高く評価できよう。
昨年の伊勢志摩サミットから4カ国の首脳の顔ぶれが変わった。だが自由貿易をめぐるG7の枠組みは堅持しなければならない。グローバル経済下でのG7の存在意義を再確認できる声明となることを期待したい。
保護主義と自由貿易の選択は振り子のように揺れている。トランプ政権誕生と英国の欧州連合(EU)離脱の自国第一主義に対し、オランダ総選挙と仏大統領選では反保護主義が支持された。
全世界に占めるG7の国内総生産(GDP)の割合は5割を切った。世界経済への影響力が低下する中で、各国の結束にヒビが入ればG7の存在意義がいよいよ問われてくる。
(2017/5/25 05:00)
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