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[ 科学技術・大学 ]
(2017/6/8 05:00)
順天堂大学大学院医学研究科の服部信孝教授と今居譲先任准教授らは、細胞内でエネルギーを作る器官「ミトコンドリア」を保護すると、神経変性疾患の「パーキンソン病」の病態が改善することを突き止めた。ハエを使った実験で証明した。疾患の予防や治療法の開発につながる可能性がある。
成果は7日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。
パーキンソン病は高齢者に多く発症する疾患で、手足の筋肉の硬直や震えなどの症状が出る。神経伝達物質の「ドーパミン」を出す神経細胞の変性が原因だが、予防法や治療法は確立していない。
研究チームはパーキンソン病の患者で変異がある遺伝子で、ミトコンドリア内で働く「CHCHD2」に着目。
遺伝子を自由に書き換えることができる「ゲノム編集」技術により、CHCHD2を変異させたハエでは、ドーパミン神経のミトコンドリアは機能不全を起こし、神経細胞死が起きていた。
これに対し、CHCHD2を変異させたハエで、ミトコンドリアの代謝を抑える遺伝子「4E―BP」を発現させると、ミトコンドリアの機能は改善した。
今居先任准教授は、研究がさらに進めば「ミトコンドリアを保護する薬剤の開発など、治療法の確立につながる可能性がある」と語った。
(2017/6/8 05:00)