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[ 科学技術・大学 ]
(2017/6/15 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年度に、企業や大学と連携して次世代航空機用エンジン技術の開発に着手する。窒素酸化物(NOx)の減少などの環境適応性と燃費を改善する技術の研究開発を進め、技術実証を行う計画だ。国際民間航空機関(ICAO)は日本や欧米、中国などの国際線航空機について温室効果ガス排出を規制する国際的枠組みに合意しており、環境性能が高いエンジンの必要性が高まっている。
文部科学省が研究開発計画を2018年度予算の概算要求に盛り込む方向性を示した。プロジェクトは18―22年度の5年間で、予算は単年度あたり10億円程度とみられる。研究開発は、製品化要求仕様を見据えて技術実証するエンジンメーカー、要素技術の評価や計測・解析技術の開発を担う大学と連携する。
JAXAは19年にも「技術実証用国産エンジン(F7エンジン)」を施設内に導入する予定。NOxや二酸化炭素(CO2)などを減らした「リーンバーン燃焼器」の改良や実証実験を実施する。23年度以降、F7エンジンに新技術を組み込み、実証する。
JAXAはICAOの基準値からNOxを75%減らした燃焼器の開発に成功している。今後実用化に必要な技術課題の解決を目指す。
高温高効率のタービンの研究開発も行う。JAXAはすでに小型エンジン用タービン翼で1600度Cレベルの耐熱性を確保する技術を開発している。新プロジェクトでは、タービンの出力増大と効率向上を両立する高負荷タービンの空力設計技術の開発と性能実証、耐熱複合材(CMC)のタービンへの適用技術の開発などを行う。
30年代に就航が予想される次世代航空機用エンジンは、25年以降に量産に向けた国際共同開発が始まる見通し。日本は高圧系コンポーネントの開発シェア獲得に向けて、国際競争力のあるエンジン技術を確立する。
(2017/6/15 05:00)