[ オピニオン ]

産業春秋/解釈改憲の行く末

(2017/6/15 05:00)

東南アジア諸国連合の首脳が出席する国際会議で、見慣れてしまった風景がある。ミャンマーの代表がティンチョー大統領ではなく、アウンサンスーチー国家顧問であることだ。

ミャンマー憲法の規定では、親族に外国人がいる者は大統領になれない。最高実力者であるスーチー氏の今の処遇は苦肉の策といえる。それでも2016年春に国家顧問になった当時は、大統領とともに会議に出ていた。

いつのまにかスーチー氏単独になり、国際世論も疑問を抱かなくなった。日本政府もスーチー氏を元首同等に待遇している。外交上の正当性を維持するためか、役職名をあえて「国家最高顧問」と訳している。

辛いのは大統領の方だろう。「側近に『もう辞めたい』とこぼしているそうだ」とは、長年ミャンマーを研究している大学教授から聞いた話。憲法で決めたことも慣習が続けばゆがめられ、おかしな状況も見慣れてしまうと既成事実になる実例だ。

日本も人ごとではない。自衛隊は憲法違反ではないという“解釈改憲”が、このまま見慣れた状態でいいのか。安倍晋三首相が訴える憲法改正は、条文を付け加えるだけなのか。ただどんな場合でも、改憲プロセスは、なし崩しにしてはならない。

(2017/6/15 05:00)

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