[ オピニオン ]
(2017/6/30 05:00)
日本の鉄道は定時運行が自慢。企業側の努力だけでなく、通勤・通学時のすし詰め状態では、扉近くの乗客が停車のたびに降車してスムーズな乗降に協力する。ホームの乗客も列を作って待ち、先を争うようなことはしない。
それでも時には若干の遅れが発生する。駅や車内のアナウンスと電光掲示板で遅延の理由を説明し、謝罪までする。訪日外国人の多くが驚き、称賛する。日本の風習や文化の一端に触れる機会だろう。
先日の午後、東京都内の地下鉄で旅行中らしい外国人家族を見かけた。発車間際の車両めがけて全力疾走した父親が飛び乗ったところで扉が閉まった。遅れてきた母親と子どもはガラス越しに苦笑いの表情を浮かべている。
だがすぐに扉が開いて家族は車内で“合流”した。父親は申しわけなさそうにしていたが、2人の子どもは笑顔だ。ホームの家族を確認して扉を再開閉した係員の判断に「ナイスプレー」と拍手したい気持ちになった。
定時運行をギチギチに守るだけでなく、人間的な心遣いができることを外国人家族に伝えられたことがうれしい。あの電車の運転士は遅れを取り戻すために駅間でがんばったはずだ。その努力は訪日リピート客の獲得につながるだろう。
(2017/6/30 05:00)