[ オピニオン ]
(2017/7/3 05:00)
『巨人の星』『あしたのジョー』などの原作者、梶原一騎さんが亡くなって30年。“スポ根もの”確立の第一人者であると同時に、多くの女性関係や傷害事件など型破りな生き方が世間から批判された。
わずか50年の短い命。ただもろもろの伝記の中には、作画者や編集者とのすさまじいせめぎ合いがうかがえる。素晴らしい作品の背景には、少年まんがの黎明(れいめい)期のさまざまな人たちのほとばしるような情熱があった。
今年はまた、映画監督の実相寺昭雄さんの生誕80周年でもある。大人向けの映像作品より、少年向けの『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の脚本など、円谷プロとの関わりが有名だ。没後11年になるが、今も変わらぬ人気を誇る。
テレビ番組の枠は30分足らず。そこに実相寺さんが傾けた時間と情熱は、いかばかりのものか。まだ国産のコンテンツが少なかった当時、テレビの黄金期を築いた一人であることは間違いない。
梶原さんや実相寺さんの作品にリアルタイムで触発された子供も社会の第一線からの引退が迫っている。“さとり世代”と評される子らが主役となる時代に、世の中はどう変わるのか。少なくとも情熱を持つことの価値が、認められるようであってほしい。
(2017/7/3 05:00)