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中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏(10)優秀賞−MCBI

(2017/8/3 05:00)

認知症を早期発見する「MCIスクリーニング検査」

  • 内田社長は「高齢化が進むなか、認知症の発症前に兆候を発見する意義は大きい」と話す

筑波大学発ベンチャーであるMCBI(茨城県つくば市、内田和彦社長、029・855・5071)の「MCIスクリーニング検査」は、加齢に伴うアルツハイマー型認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の兆候を早期に発見する。7ミリリットルを採血するだけで検査可能。アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβペプチドを排除する機能を持つ3種類のたんぱく質血中量を調べ、MCIリスクを判定する。

筑波大などの研究成果を生かし、2015年4月に事業化した。これまでの約2年間に、全国1500超の医療機関で1万人以上が検査を受けている。健常高齢者とMCIの判別精度は約80%。検査は認知機能低下の程度をA―Dの4段階で判定し、約2―3週間後に結果を通知する。

研究段階では、同検査の有効性を正確に確認するため、認知症と正しく診断された患者を対象に試験をする必要があった。MCBIは、筑波大名誉教授で認知症の臨床の第一人者である朝田隆医師の協力を得て共同研究を実施した。内田社長は「信頼できる医師のもとで質の高い診療・診断を受けた患者に向けて検査することができた」と振り返る。

実用化では、全国で受けられる検査とするための事業モデル構築が課題だった。この点については、事業化の前段階で朝田氏のほか、国内の3医療機関で試験を行い、「研究段階の検査再現性や判別精度、検査簡便性といった部分を実証できた」(内田社長)。

今後のステップは同検査を多くの人々に広めることだ。その上で、患者と直接話して同検査を紹介する機会のある医療機関の医師や看護師、検診センターのスタッフなどが果たす役割は大きい。「MCIの段階で発見できれば認知症は予防でき、しかも少量の血液検査だけで確認できると一般の人に知れ渡ることが大事」と内田社長は強調する。認知症発症前に適切な処置を行う第一歩として、この検査手法を「将来は国外にも広めて一般化させたい」と内田社長は意気込む。

(茨城・大原翔)

(木曜日に掲載)

(2017/8/3 05:00)

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