[ 機械 ]
(2017/8/7 05:00)
【全自動プロファイル研削盤 iPG―X】
フルカバー仕様で一見、工具研削盤のようなスマートな外観―。和井田製作所が全自動プロファイル研削盤「iPG―X」の開発で狙ったのが精度とサイクルタイムを追求した「実用レベルの完全自動化」(藤井啓太取締役技術部長)だ。
要はCAM機能搭載の独自対話型ソフト「iPG Lab」。作業者が加工条件などを入力するだけでプログラムを自動生成する。デジタル画像計測を統合することで最適な自動補正加工までを行う。砥石(といし)・ワーク(加工対象物)交換や計測、補正といった一連を全て自動で行うため作業者の技量に左右されずに長時間運転でも高精度加工を維持する。
精度安定を重視し、あえて金型成形に特化した。軸数は「多いと誤差が生まれる」(藤井取締役)とリニアモーター駆動直線3軸とダイレクトドライブ(DD)モーターによる旋回テーブル1軸の計4軸。専用CAMにより直線3軸を同時に動かす。この制御により4軸構成でも斜め加工を可能にした。全方向の逃げ加工ができ1台で異形のダイ、パンチを加工できる。
新規開発要素が多く「システムとして長時間安定稼働させるのに非常に苦労した」と開発リーダーの大野博之技術部主幹は振り返る。加工条件や形状などから自動計算して動くため、わずかな現象が不具合につながる。「1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のずれの原因が機械か、ソフトか容易にはわからない」(大野主幹)。
そこで技術、製造という組織の垣根を越え大野氏ら3人を選任。同社初の専任開発チームで課題に取り組んだ。2年半をかけ加工条件による熱変位など再現性の低い不具合原因も究明。原因と対策をiPG Labに徹底的に教え込み、最適な解を出せるよう導いた。こうして完成したiPG―X。高度な技能を持つ高齢技術者が退職していく中、全自動機の需要は高い。納入先では早速30日・600時間生産を2カ月達成。実力をいかんなく発揮している。
(岐阜支局長・伊藤吉登)
(2017/8/7 05:00)