[ ICT ]
(2017/8/25 05:00)
人工知能(AI)とIoT(モノのインターネット)が就職活動にも大きな影響を及ぼしていることが分かった。今回はいつもと少し視点を変えて、そんな話題を取り上げてみたい。
就活生に聞いた「自分の就活に影響したニュースワード」
就職情報大手のマイナビが2018年卒業予定の学生を対象に行った調査で、メディアやネットでよく取り上げられているニュースワードの中から自分の就職活動に影響したものを選んでもらったところ、全体で最も高い割合となったのは「人工知能・AI」(31.6%)、2位も「IoT」(30.5%)となり、今話題を集めているICT関連のキーワードが上位を占めた結果となった。(表1)
ちなみに、3位は「働き方改革」(30.4%)、4位は「女性活躍推進」(23.1%)、5位は「地域活性化・地方創生」(16.8%)と、これらのニュースワードのほうが就活にもっと影響を及ぼしそうな気もするが、AIとIoTがそれらを上回ったことは非常に興味深いところである。
表2は、それらのニュースワードを文系・理系および男女のカテゴリー別に分けたランキングのベスト5である。マイナビによると、「AIは文系男子で1位、理系男子で2位と、女子より男子の割合が高い。また、IoTは理系男子と理系院生で1位となり、理系学生への影響が強かったようだ」という。
なお、この調査は2018年卒業予定の大学生および大学院生を対象に、7月26日から31日にインターネットで実施し、1782人から有効回答を得たとしている。内訳は、文理男女別で文系男子333人、理系男子482人、文系女子456人、理系女子511人。地域別で関東704人、東海182人、関西371人、その他525人となっている。
就活生にとってAIとIoTに関する話は「企業の魅力」
さて、この調査結果をどう見るか。確かにAIとIoTに関連したニュースはこのところメディアに頻繁に登場しているので印象的ではあるが、それが就活にも影響を及ぼしているとなると、就活生にとってはAIとIoTに関する話が「企業の魅力」と映っているのかもしれない。
中でも筆者が注目したのは、表2のカテゴリー別ベスト5において、文系の男女ともにAIとIoTがランクインしていることだ。理系学生の割合が高いだけならば、技術的な見方が強いといえるが、文系学生の関心も高いとなると、AIとIoTはもはや業種業態を問わず、企業がこれらの技術をどのように活用しているのか、活用しようとしているのか、が問われているのだろう。
この調査では、AIとIoTを個別に扱っているが、IoTがもたらすビッグデータをAIによって高度に分析して新たなビジネス価値を生むと考えれば、企業にとってAIとIoTは一連の取り組みだ。それは取りも直さず、「デジタルトランスフォーメーション」へのアプローチである。その意味では、今回のような就活調査からも、企業にとってデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが“待ったなし”であることをしっかりと認識すべきである。
(隔週金曜日に掲載)
【著者プロフィール】
松岡 功(まつおか・いさお)
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年生まれ、大阪府出身。
(2017/8/25 05:00)