[ オピニオン ]
(2017/8/28 05:00)
カナダのシンガー・ソングライター、レナード・コーエンの作品を久しぶりに聴いて、初めて座禅を組もうと思い立った。彼は臨済宗の老師に付いて修行を積んだ。
自宅近くにある寺院の座禅会に参加した。物好きな人は多い。土曜日の夕方だというのに40―50人はいる。住み込みで修行している人もいるようだ。始まってすぐに飲みに行けばよかった、釣りに行けばよかったとの思いが湧く。無になれない。
翌日は別の寺院に行った。東京・広尾という場所柄か外国人もいる。この日は誘惑はないのに、無になれなかった。仕事で行った京都でも座禅を組んだ。考えが湧かない状態が続くと、どうなるか試してみたかった。自分も物好きだということに気付いただけだった。
座禅を組むと、セロトニンという神経伝達物質が活性化し、心が落ち着いて集中力が増し、ストレスが軽くなるという。わずか3回の体験で、そのような効果を実感できるはずはないのかもしれない。
米アップル創業者のスティーブ・ジョブズは曹洞宗の老師に師事した。iPhone(アイフォーン)のシンプルで洗練されたデザインは、禅の影響を受けたといわれる。彼は無になれたのだろうか。無になれたと思いたい。
(2017/8/28 05:00)