[ オピニオン ]
(2017/9/4 05:00)
「ゆるやかな景気回復」だけでは、企業は新たな行動に踏み出せない。規制改革の推進など、景気浮揚に向けたさらなる対策が政府に求められる。
財務省の四半期別法人企業統計調査によると、2017年4―6月期の製造業の設備投資は前年同期比7・5%減。1―3月期は同1・0%増と低水準ながらプラスだったが、予想以上に大きく落ち込んだ。
民間設備投資の先行指標である内閣府の機械受注統計の「船舶・電力を除く民需」は、直近の6月まで3カ月連続で減少。また経済産業省の鉱工業生産指数の7月速報は2カ月ぶりのマイナスで、設備投資関連の資本財の減少が足を引っ張った。いずれも足元の企業の投資マインドが決して前向きではないことを示すものだ。
一方、法人企業統計では非製造業の設備投資は2四半期連続で前年同期比6%台の伸びを続けている。この主たる要因は人手不足対策のための「やむを得ざる投資」とみられ、必ずしも自律的な経済成長につながるものではないようだ。
経済指標でみる限り、日本経済は「いざなぎ景気」と並ぶ長期の景気回復が続いている。設備投資も決して悲観する水準ではないが、景気拡大をけん引するだけの力強さを欠く。日本政策投資銀行の調査では、17年度の全産業の設備投資計画は前年度比11・2%増と増加基調にある。ただ実際の投資額は計画を下回る傾向があり、順風満帆を予想することは難しい。
今の企業業績を下支えしているのは、昨年来の政府の景気対策だ。景気が失速すれば追加対策を求める声も出てこよう。しかし政府の経済運営が従来の手法を繰り返しているだけでは、産業界の設備投資意欲は盛り上がらず、自律成長やデフレ脱却にもつながらない。
政府に求められるのは、岩盤規制の打破によって新たな内需市場を生み出し、企業マインドを刺激することだ。政府の財政出動や金融政策による景気浮揚には限界がある。改造内閣で経済主導を約束した安倍晋三首相の行動力を期待する。
(2017/9/4 05:00)
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