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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/19 05:00)
九州大学大学院歯学研究院の武洲(たけひろ)准教授や中西博教授らは、アルツハイマー病が悪化する可能性のある歯周病由来の原因物質を突き止めた。歯周病の原因菌「ジンジバリス菌」が出す歯周組織を破壊する酵素「ジンジパイン」に着目。この酵素が脳や脊髄にある免疫機能を担う細胞の一種「ミクログリア」の移動や炎症反応を引き起こすことを明らかにした。歯周病によるアルツハイマー病悪化を抑える治療法の開発につながる。
通常、血液から脳内への物質の移動を制限する機構「血液脳関門」が脳を保護している。ただ、ジンジパインは末梢(まっしょう)血管での物質の透過性を高める働きがある。
今後、ジンジパインが血液脳関門への透過性を高め、菌が脳へ侵入しやすくなる可能性について検討する。
ジンジバリス菌は、アルツハイマー病患者の脳内で見つかり、歯周病の重症度と認知症の重症度が比例することが報告されている。だが詳細な仕組みは分かっていなかった。
研究グループは、マウスの脳にこの菌を注入する実験を行った。菌を注入した部位の周辺にミクログリアが集まるが、ジンジパイン阻害剤を同時に注入すれば、ミクログリアの移動を抑えられることを確認した。
さらにジンジパインはミクログリアが持つたんぱく質「PAR2」を活性化。
その後、ミクログリアが移動に適するように細胞の形を変化し、移動や炎症反応を引き起こすことを突き止めた。
成果は18日、英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
(2017/9/19 05:00)
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