[ 政治・経済 ]
(2017/9/21 05:00)
中国の平均賃金の上昇を背景に日系企業はアジア内での拠点を多様化させており、賃金の安いバングラデシュが存在感を高めている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、同国に拠点を持つ日系企業数は5月時点で253社に達し、2008年比で3倍超となった。中国やタイなどに比べると少ないが、日本企業が過去5年間に世界で設置した拠点の増加割合を上回る。
海外調査部の田中麻理氏は「安い人件費で大量の若い人材を雇える」と利点を説明。労働集約型産業が以前から進出していたが、中国の賃金上昇を受け、10年以降に傾向が顕著となったという。
ジェトロによると、アジア・オセアニア地域19カ国における日系企業の製造業作業員の平均賃金は同国が最も安く、中国の4分の1。月額の基本給は111ドルとスリランカやラオス、ミャンマーなども下回る。
ホンダやロート製薬、味の素など拡大が予想されるバングラデシュの国内マーケットに注目して進出している大手企業も目立つと田中氏は話す。人口約1億6000万人、年齢の中央値が26・3歳の同国では、この5年でドル建ての実質国内総生産(GDP)が倍増している。
また「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングも日系企業進出に一役買った。同社が08年にバングラデシュに駐在員事務所を設置し、委託生産を始めたことをきっかけに服飾関係や縫製業に関わる企業の進出が増加した。
ジェトロによると、進出している日系企業はアパレル・皮革製品製造が約30社、服飾資材、検品・検査業者が約15社、物流関連が約10社、ITサービスが約15社。
(ブルームバーグ)
(2017/9/21 05:00)
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