[ 政治・経済 ]
(2017/9/25 10:30)
新興右派AfD、第3政党の勢い
【ベルリン時事】24日投開票のドイツ連邦議会(下院)選挙は、主要各メディアによる独自集計の結果、メルケル首相率いる保守系与党、キリスト教民主・社会同盟が第1党の座維持を確実にした。メルケル氏は同日夜、ベルリンで支持者らを前に「強い欧州をつくっていく」と勝利宣言し、4期目続投の決意を表明した。
ただ、民主・社会同盟は2013年の前回選挙時と比べ、得票率を9ポイント近く下げる見通しで、12年間も首相を務めるメルケル氏への国民の飽きも浮き彫りになった。
一方、「反難民」を掲げる新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が下院に議席を獲得し、第3党になる情勢となった。排外的な主張を公然と展開する政党の国政進出は戦後ドイツで初めて。メルケル氏は「大きな挑戦だ」と危機感をあらわにした。
公共放送ZDFによると、予測得票率は民主・社会同盟が32.9%。第2党は中道左派の社会民主党で20.8%。続くAfDは13.0%。
メルケル氏はAfDの台頭も意識しつつ「難民を生む原因に対処する。国内の治安対策にも取り組む」と述べ、国民の不安を解消していく姿勢を強調した。地元メディアによると、AfDのワイデル筆頭候補は「われわれは政策の中身で選ばれた」と述べ、「反難民」「反イスラム」は国民の意思だという認識を示した。
民主・社会同盟の議席は過半数に届かなかったため、メルケル氏が小政党との連立協議を主導する。AfDを連立に加える選択肢は既に否定している。これまでの連立相手である社民党は最大野党として活動する方針を示した。
近年の欧州は難民対応をめぐる足並みの乱れや英国の欧州連合(EU)離脱決定で、EU加盟各国の協力関係立て直しが大きな課題になってきた。メルケル首相はEUの連帯に取り組んできたため、民主・社会同盟の勝利はドイツ国民が国と欧州の安定を求めた結果と言える。
メルケル氏は4期目を全うすれば、在任期間はコール元首相と並んで戦後最長の16年に達する。
(2017/9/25 10:30)