[ オピニオン ]
(2017/10/5 05:00)
今年のノーベル賞のうち、生理学医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学3分野の発表が4日終わった。下馬評では日本人研究者の名前も挙がっていたが、残念ながら4年連続の受賞とはならなかった。
ノーベル賞はダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて「人類の福祉に最も貢献した人々」に授与される。
賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億2400万円)で、現在ではこれを上回る賞金を出す賞もある。また複数受賞が多く、その場合に賞金は分配となる。とはいえ、自然科学分野でノーベル賞の権威はいまだに衰えていない。
ノーベル賞は1901年から始まったが、戦前には日本人受賞者はいなかった。戦後間もない49年に、中間子の存在を理論的に予言した湯川秀樹博士が初めて受賞した。その後、自然科学3分野の日本人受賞者は外国籍を含め22人を数える。
自然科学3分野の受賞者は、国別では米国が圧倒的多数で、次いで英独仏などの欧州勢、日本の順となる。科学研究が産業をけん引し、豊かな社会を築くことがうかがえる。
決まったモノを低コストで作るという作業は、労賃の安い国・地域に向かうのが自然の流れであろう。
生活水準の高い国は科学研究の成果に基づき、世界中の人々の役に立つ新たな価値を生み出していかなければ衰退の道をたどる。高齢化が進む資源小国の日本にとって「知」こそが最大の資源である。
そのためには、誰も手がけていない分野を研究する優秀な若手研究者をたくさん育てることが必要である。ノーベル賞級の研究成果を生み出す優れた研究者は、広い裾野があってこそ生まれる。まずは子どもたちが自然科学に興味を持つ環境を整えなくてはならない。
さらに研究者が生み出した成果を、人々に役立つ形に遅滞なくつなげることが求められる。「知」の充実と、「知」を産業に結び付け「富」を生み出すシステムづくりが重要である。
(2017/10/5 05:00)
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