[ オピニオン ]
(2017/10/6 05:00)
自然科学3賞には一歩を譲るとはいえ、ノーベル文学賞に選ばれれば文豪として歴史に名を残す。1925年受賞のアイルランドの劇作家、ジョージ・バーナード・ショーはミュージカル映画『マイ・フェア・レディ』の原作者でもある。
政治的には英国のフェビアン協会に属した穏健な社会主義者。菜食主義で愛妻家という生活スタイルで第二次大戦後まで長寿を保った。作風は辛辣(しんらつ)な風刺に満ち、皮肉の効いた金言・警句が数多い。
代表作のひとつ、戯曲『人と超人』(マン・アンド・スーパーマン)は女嫌いの男が結婚に追い込まれる喜劇を装いつつ、男女の求めるものの違いという深遠な哲学を展開する。命を生む力を持つスーパーマン(男以上の者)には、男は決して勝てないらしい。
総選挙の行方を分けると目される安倍晋三首相と小池百合子東京都知事。社会システムをがっちり握る男の政権に、人気を誇る小池さんはどんな力で切り込むか。
政治評論を得意としたショーは「人間を賢くするのは経験ではなく未来に対する期待だ。期待を持つ人間は何歳になっても勉強する」と言った。既得権や実績だけでなく、何ができるかを論じるリーダーが、有権者から力をもらうのではないか。
(2017/10/6 05:00)