[ オピニオン ]
(2017/10/30 05:00)
官民挙げて取り組む建設現場の生産性向上が、成果を上げている。情報通信技術(ICT)を積極的に導入したことで、作業時間の短縮や省人化を達成化した現場が増えている。より一層の生産性向上に向け、継続的な取り組みを期待したい。
政府は2016年9月の未来投資会議で、25年度までに建設現場の生産性を2割向上する目標に掲げた。これを踏まえ、国土交通省はICTを導入して建設生産プロセスを改革する施策「i―Construction」(アイ・コンストラクション)を進めている。
第1弾の対象としたのは、地面を掘削したり土を盛り固めたりする工事。飛行ロボット(ドローン)による測量や、ICTを活用した建設機械による施工を実施し、2次元の図面を3次元(3D)データに切り替えるなどして、効率化を進めた。
この結果、測量から検査までの作業時間を平均28・3%削減した。3D測量やICT施工について、工事受注者の90%以上は「期待した程度の成果が得られた」と評価する。
引き続き17年度は、舗装や浚渫(しゅんせつ)などの工事でICTを導入する。3Dデータの活用拡大も進める方針だ。
建設業界はこれまで多くの技能労働者を抱え、現場の生産性向上をそれほど重視していなかった。だが少子高齢化に伴い、現場の担い手不足は深刻化している。政府の働き方改革の推進を受け、週休2日制の実現に向け、本気で取り組む必要に迫られている。
生産性向上は、単に効率化や省人化の効果にとどまらない。将来も魅力ある業界として若い担い手を呼び込むためには、不可欠な取り組みである。大手建設会社だけではなく、中小や下請け業者にまで浸透するよう配慮することも必要だ。
ICTやロボット、さらには職人技などを組み合わせることで、10年後の建設現場は今と様変わりする可能性は大きい。官民が連携し、生産性向上に向けて手を緩めることなく、先進的な技術や野心的な仕組みを積極的に導入してもらいたい。
(2017/10/30 05:00)
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