[ オピニオン ]
(2017/11/6 05:00)
2017年度の新卒採用活動が終盤を迎えている。思うように人材を確保できない中堅・中小企業は多く、経営者の顔は渋い。昨年度以上に厳しい求人状況だったようだ。
求める仕事と人材のミスマッチもある。「大学と共同研究しており、技術系の新卒は採用できている。だが営業担当の新卒が採れない」という話を聞いた。中小企業の話ではない。今をときめく自動走行関連に特徴を持つ上場企業の社長の嘆きである。
規模こそ小さいが、技術力では業界の注目を集め収益力も高い。「文系ならば専門知識は不要。入社後に勉強してもらえればいい」と社長は低姿勢だ。それでも、面接に来た学生の多くが“お堅い”就職先に流れたという。
「今の学生は安定志向」とぼやく経営者は少なくない。インターネットで求人情報を簡単に収集し、数十社もエントリーできる環境だから「本命でなくても興味本位で受けてみる」という学生も多いそうだ。
IoT(モノのインターネット)や次世代自動車、ロボットなど、将来の成長の芽も少し見えてきた。だが若い人たちにとって、産業の成長と魅力ある職場は別物なのだろう。もっとも、バブル期で就職に困らなかった中年にそうぼやく資格はないかも…。
(2017/11/6 05:00)