[ 金融・商況 ]
(2017/11/9 05:00)
仮想通貨交換業者が市場拡大に奔走している。代表的な仮想通貨「ビットコイン」が投機的側面から急騰・急落したり、分裂を繰り返したりする中、仮想通貨を国内で利用できる環境を整える企業や、交換業者としての登録を支援する企業が出てくるなど、ビットコインなど仮想通貨のエコシステム(生態系)の構築を目指す動きが活発化してきた。(山谷逸平)
■交換業者、利用機会身近に
【11社を登録】
4月に施行した改正資金決済法を受けて、金融庁は仮想通貨交換業に登録制を導入。第1弾として仮想通貨交換業者として、ビットフライヤー(東京都港区)、ビットバンク(東京都品川区)、マネーパートナーズ(東京都港区)など11社を9月下旬に登録した。
ビットフライヤーの金光碧最高財務責任者(CFO)は、「ビットコインのエコシステムを構築したい」とし、BツーB(企業間)、BツーC(対消費者)の両方で市場を開拓する。
BツーCでは、同社のビットコイン決済サービスが家電量販大手のビックカメラで7月から全店導入された。日本ユニシスグループのキャナルペイメントサービス(東京都江東区)との提携では、販売時点情報管理(POS)レジスターの中にビットコイン決済機能が入っており、「ローソンやドン・キホーテ店舗での普及を期待する」(金光CFO)としている。
BツーB向けでは全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」の実証実験環境を提供するパートナーベンダーの一つに選定され、独自開発のブロックチェーン「miyabi」を提供している。
【すそ野広げる】
一方、取引所とブローカーの両機能を持つビットバンク(東京都品川区)は、仮想通貨取引所の新規参入を支援するサービス「ビットバンクフォーブローカー」を提供する。すそ野を広げる狙いがある。広末紀之最高経営責任者(CEO)は、「今後、事業者が増えると(金融庁は)枠を絞ってくるのではないか。そうなるとビジネス機会を失う可能性がある」とし、早めの登録を促す。
また、11社以外にも新たに仮想通貨交換業者登録を目指す企業もある。ビットバンクを持分法適用関連会社とするセレスは、この「ビットバンクフォーブローカー」を活用して、仮想通貨取引事業を行うブローカー「マーキュリー」(東京都港区)を9月に設立した。
マーキュリーの社長でもあるセレスの都木聡社長は「セレスのポイントサイト運営事業やソービットなどの送金サービスとの親和性も高い」として、サービスを拡大していく計画だ。
仮想通貨が実生活で利用できる場面はまだまだ限られるが、今後、こうした市場拡大の取り組みや支援サービスが広がることで、利用機会が増えそうだ。
(2017/11/9 05:00)
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