[ オピニオン ]
(2017/11/20 05:00)
最近、趣味の魚釣りの集まりが毎週のようにあり、20歳―30歳代の若者と話す機会が多い。久しぶりに会った一人に、通っているロックバーに連れて行ってほしいとリクエストされた。
まず食事をしようと店に入ったが、酒が飲めないはずの彼が日本酒を注文した。尋ねると「会社では酒が飲めないことになっている」そうだ。若い世代を中心に「酒が飲めるのに、飲めないふりをしている人」が相当数いるらしい。
理由は簡単である。さしたる訳もなく、上司や先輩に酒の席に誘われるのが嫌だからだ。「実際は渋々ついて行く人が多い。仕方なく飲んでいる人と飲んで、おいしいんですか」とか。
酒を出す店側も「飲みながらする話じゃないと思うこともたまにある。若い者が酒を飲みに行かなくなるし、営業妨害です。ほかの店でもやってもらいたくありません」。こんなぼやきを、何度か聞いた。
連れ回したり、説教したりする方にも言い分はあるだろう。だが作家の吉田健一さんが書くように、犬が日なたぼっこをしているように気持ち良く酒は飲みたいものだ。メーカーはさまざまな酒を提案するが、見本となる“飲み方”も提案してはどうか。今のままでは酒離れは進む一方だろう。
(2017/11/20 05:00)