[ 機械 ]
(2017/11/27 05:00)
■機械設備「底打ち感」/車向けで更新需要
タイの機械設備需要に底打ち感が強まっている。タイの工作機械受注は日本の統計上、大洪水翌年の2012年から前年比減が5年続いたが、17年は10月まで同5・8%増で推移、薄日が差し始めた。短期では自動車の更新需要、長期では政府の経済対策が設備投資を促しそう。機械関連各社は足元、将来を見据えた活動にギアを一段上げる。自動車産業の集積地であることから「東洋のデトロイト」ともてはやされたタイ。復活となるか。(六笠友和)
【売上高2.5倍に】
11月末にタイ・バンコクの米系ホテルで開かれた機械商社大手、山善の懇親会。日本の工作機械・機器の首脳がそろう中、山善から「東南アジア諸国連合(ASEAN)の売上高を500億円にする」との声が上がった。2017年3月期比でおよそ2・5倍もの計画に会場がわいた。中長期的な努力目標とみられるが、意欲、期待の高さがうかがえる。
【“低速”運転中】
タイの機械受注は低迷が続いた。11年の大洪水で水没した機械が一斉に更新され、「新規需要をなかば先食いした」(中堅プレスメーカー幹部)。
頼みの自動車産業は生産台数が13年の245万台で頭打ち。以後、新車販売が伸びず、年産約200万台の低速運転中だ。タイ国内の生産能力は同300万台と設備過多が指摘され、新規投資が進まない。直近の数年は中国経済の減速余波にも苦しめられた。
ただ、ここにきて朗報が続く。7―9月のGDPは4・3%増で4年半ぶりの高い伸びとなった。さらに18年の成長率は3・6―4・6%が予想される。日本の統計からも回復予兆が読み取れる。日本工作機械工業会(日工会)のまとめでは受注額が1―10月まで増加した。
【再強化の動き】
なにより大きいのが政府が発表した経済活性化策だ。新経済特区「東部経済回廊」に5兆円超が投じられる。高速鉄道や港湾、空港が整備され、直接、間接的な設備需要が期待される。また、タイ版「インダストリー4・0」政策で目指す産業高度化のための設備投資も予想される。この波に乗ろうと日本の機械各社がタイ事業の再強化に動いている。
(2017/11/27 05:00)